

「授業時数が多すぎて、子どもにも先生にも余裕がない」
「もっと一人ひとりに合った学びを実現したい」
「誰もが安心して過ごせる学校にしたい」
そんな学校現場の思いや願いを、国に届けてみませんか?
現在、文部科学省が、次期学習指導要領の改訂に向けた「審議まとめ」について、パブリックコメント(意見募集)を実施しています。
締切は11月5日(木)23:59です。
学習指導要領は、子どもたちの学びのあり方だけでなく、先生たちの日々の仕事や学校のあり方にも大きく関わるものです。
NPO法人School Voice Project(SVP)は、これまで学校現場の声をもとに、次期学習指導要領に向けて2つの提言書の公表を行ってきました。
今回の「審議まとめ」には、私たちが求めてきた方向性と重なる前向きな提案も盛り込まれています。一方で、まだ十分とはいえない点や、今後の制度設計において懸念される点もあります。
今だからこそ、学校現場の声を届けることが大切です。
今回の改訂では、次の3つが大きな方向性として示されています。
・主体的・対話的で深い学びの実装
・多様性の包摂
・実現可能性の確保
特に注目したいのは、各学校がより柔軟に教育課程を編成できる「調整授業時数制度」の創設です。
各教科の標準授業時数を最大15%程度減らし、生み出した時間を別の学習活動や、教職員の研究・研修等に充てられるようにすることが提案されています。
また、障害の社会モデルや合理的配慮の考え方が取り上げられるなど、インクルーシブな学校づくりにつながる方向性も示されています。
これらは歓迎したい変化です。
しかし、制度ができるだけで、学校が変わるわけではありません。
① 授業時数削減と内容精選を実現し、子どもにも先生にも「余白」を
SVPは、標準授業時数の一律1割削減を提言してきました。
今回提案されている「調整授業時数制度」は、学校の裁量を広げるという意味では前進です。
しかし、各教科の時数を減らしても、その分が別の授業や活動に置き換わるのであれば、子どもたちの学校生活や先生たちの働き方に、十分なゆとりが生まれるとは限りません。
学習内容の精選とあわせて、総授業時数そのものを減らすことも、引き続き重要だと考えています。
📌例えば、こんな意見を届けてみませんか?
・6時間授業が続くことで、子どもたちにどんな負担が生じているか
・授業準備や子どもへの個別の支援に、どれだけ時間が足りていないか
・総授業時数や学習内容をどう見直してほしいか
② すべての子どもが安心して過ごせる学校を、学びの土台に
SVPは、誰も排除されないインクルーシブな学校づくりを、学習指導要領改訂の中心に据えることを求めてきました。
子どもたちが主体的に学ぶためには、まず、自分らしく安心してその場にいられることが必要です。
今回の審議まとめで、障害の社会モデルや合理的配慮の考え方が取り上げられたことは歓迎しています。
一方で、子ども自身を学校に適応させることばかりを求めるのではなく、学校の環境や仕組みを変えていく視点を、より明確にしていく必要があります。
📌例えば、こんな意見を届けてみませんか?
・今の学校の仕組みが、子どもたちに無理をさせていると感じる場面
・合理的配慮を実現するうえでの課題
・教室に入りづらい子どもたちの居場所や、安心できる環境づくりに必要なこと
・障害を「改善・克服する」という考え方ではなく、社会モデルに基づく支援を重視してほしいという意見
③ 柔軟な時間を、本当に現場で必要なことに使えるように
新たな「裁量的な時間」は、学校のあり方を変える可能性を持っています。
SVPは、こうした時間を、教科学習に直接結びつく活動だけでなく、子どもの居場所づくりや、教職員が協働するための時間にも使えるようにすることを求めてきました。
例えば、子どもたちが自由に過ごしたり、自分の興味を探究したりする時間。先生たちがケース会議をしたり、校内の支援体制を整えたり、じっくり対話したりする時間。
こうした活動も、豊かな学びやインクルーシブな学校を実現するために欠かせません。
また、制度が複雑だったり、活用するための準備が大きな負担になったりしては本末転倒です。
📌例えば、こんな意見を届けてみませんか?
・裁量的な時間を使って、学校でどんなことを実現したいか
・「学習枠」「研究・研修等枠」にどんな活動を認めてほしいか
・教職員の協働や校内支援体制づくりに必要な時間
・制度を使いやすくするために、国や教育委員会に求めたい支援
④ 子どもと教職員の声が、学校や教育政策に反映されるように
SVPは、学習指導要領の改訂にあたって、現場の教職員の声を継続的に集め、政策に反映する仕組みを求めてきました。
また、子どもの権利条約やこども基本法の理念を踏まえ、子どもたち自身が学びのあり方について意見を表明し、学びをともにつくっていくことも重視しています。
学校の裁量が広がることは大切ですが、何をどう決めるのかというプロセスも重要です。
📌例えば、こんな意見を届けてみませんか?
・子どもたちの意見を、授業や教育課程にどう反映できるか
・教職員が学校運営や教育課程づくりに参加するために必要なこと
・国や教育委員会が、学校現場の声をどのように集め、政策に反映してほしいか
ここまでSVPの考えを紹介してきましたが、これらの提言に必ずしも賛同する必要はありません。
今回の審議まとめについて、歓迎したいこと、心配していること、もっとこうしてほしいと思うことなど、さまざまな意見があると思います。
大切なのは、一人ひとりが学校現場で感じていることや考えていることを、自分の言葉で届けることです。
専門的な文章を書く必要はありません。
例えば、次の3つを意識すると、意見をまとめやすくなります。
1. 学校現場で、どんなことが起きているか
2. そこに、どんな課題があると感じているか
3. どのような制度や仕組みに変わってほしいか
✏️🗒️パブリックコメントの記入例
以下は、SVPの提言をもとに作成した意見の参考例です。
そのままコピーして提出するのではなく、ご自身の経験や問題意識を踏まえて、加筆・修正する際の参考にしてください。
記入例① 標準授業時数の削減について
標準授業時数の一律1割削減を求めます。今回提案された調整授業時数制度は、学校の裁量を広げる点で評価できますが、各教科の時数を減らしても別の活動に置き換わるだけでは、子どもや教員の負担軽減につながりません。現状では、6時間授業が続くことで子どもたちに疲れが見られ、教員も教材研究や個別の支援に十分な時間を確保できていません。学習内容を精選するとともに、総授業時数そのものを削減し、子どもにも教員にも余裕のある学校生活を実現してください。
記入例② 裁量的な時間の柔軟な活用について
調整授業時数制度による裁量的な時間について、学校の実情に応じて柔軟に活用できることを明示してください。子どもたちにとっては、遊びや休息、個人探究、異年齢交流、安心して過ごせる居場所づくりなども大切な活動です。また、教職員にとっては、ケース会議や校内の支援体制づくりなどの時間が必要です。教科学習や直接的な授業改善に結びつく活動だけに限定せず、各学校が子どもたちの実態や課題を踏まえて、必要な活動を選べる制度にしてください。
記入例③ インクルーシブな学校づくりについて
「包摂/多様性の尊重」を、学習指導要領改訂の最優先課題に位置づけることを求めます。学校には、障害の有無や国籍、家庭環境など、さまざまな背景を持つ子どもたちがいます。子どもが学校の仕組みに適応することだけを求めるのではなく、学校の側が環境や学び方を柔軟に変えていくことが必要です。障害の社会モデルや合理的配慮の考え方を明確に位置づけ、すべての子どもが安心して過ごし、自分に合った方法で学べる教育課程の実現を求めます。
記入例④ 教職員の時間と学校への支援について
教育課程の柔軟化を実現するためには、教職員が話し合い、学び合い、学校のあり方を考える時間が必要です。しかし現状では、授業や日々の業務に追われ、十分な時間を確保できていません。裁量的な時間の「研究・研修等枠」について、授業研究だけでなく、ケース会議、チームビルディング、校内支援体制づくりなどにも活用できることを明示してください。また、制度の導入が新たな負担にならないよう、教職員定数の改善や業務の見直し、教育委員会への支援もあわせて進めてください。
記入例⑤ 子どもと教職員の意見表明・参加について
学習指導要領に、子どもの意見表明や参加を保障することの重要性を明記してください。子どもたちは学びの当事者であり、授業や教育課程のあり方について意見を持っています。特別活動や総合的な学習の時間だけでなく、日常の授業においても、子どもの意見や発案を取り入れ、学びをともにつくることを重視してほしいと思います。また、教育政策の策定にあたっては、現場の教職員の声を継続的に集め、審議や制度づくりに反映し、その結果を公表する仕組みを整えてください。
✏️🗒️パブリックコメントの提出方法
締切:2026年11月5日(木)23:59
▶ パブリックコメント提出フォーム
▶ 募集要領・審議まとめの資料(文部科学省/e-Gov)
1回の回答で10件まで意見を記入できます。氏名や連絡先などの入力は任意です。
子どもや教職員、学校を特定できる情報を書かないよう、ご注意ください。
2025年6月20日
「学習指導要領改訂に向けての提言書 ~学校現場の実情を踏まえた柔軟で持続可能な学びの実現に向けて~」
NPO法人School Voice Projectによる提言。学校現場の教職員の声をもとに、標準授業時数の削減、教育課程の柔軟化、現場への支援、社会モデルと子どもの権利の明記などを求めました。
2026年4月
「次期学習指導要領改訂に向けた共同提言」
DPI日本会議、AIS-net、School Voice Projectが連携し、澤田稔さんの協力のもと作成。包摂・多様性の尊重を中心に据えた教育課程のあり方などを提案しました。
▶ 2026年の共同提言全文
学校のことを、学校現場の声を抜きに決めてほしくない。
子どもたちにとっても、先生たちにとっても、もっと豊かで、無理なく続けられる学校をつくるために。ぜひ、あなたの声を届けてください。
NPO法人School Voice Project